新型コロナウイルス(COVID-19)におけるPOCUS(Point of Care Ultrasound)を使用した感染予防

新型コロナウイルス(COVID-19)におけるPOCUS(Point of Care Ultrasound)を使用した感染予防

重要なサマリー(要約)

  • 新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、新しいコロナウイルス SARSCoV-2 によって引き起こされます。1 関連する臨床症候群には、ウイルス性肺炎および急性呼吸窮迫症候群が含まれる場合があります。2
  • ポイントオブケア超音波(POCUS)は、ポータブルで迅速に展開でき、イオン化放射線を放出せず、実用的な臨床データを提供できるため、COVID-19の管理における最前線のトリアージおよび監視ツールです。3,4
  • POCUS の使用者は、使用済みプローブの最善の消毒方法を検討する必要があります。

超音波を使用したCOVID-19の診断と管理

世界保健機関(WHO)では、肺炎、重症肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)をCOVID-19に付随した臨床症候群と特定し、医用画像を使用した調査が可能であるとしています。2 超音波検査は、COVID-19の主な管理ツールと特定されています3,4肺エコー、経胸壁心エコー検査、また重篤な場合には胸水を管理するための中心静脈アクセスと胸腔穿刺などの処置がこれに含まれます(表1)。 超音波検査には、優れた拡張性、診療現場での簡単で迅速な導入、イオン化放射がないことなど、CTやMRIと比べて複数のメリットがあります3

COVID-19の管理中に患者とスタッフの安全を確保する

SARS-CoV-2は感染力が高いため、COVID-19の院内感染を防ぐには、感染対策が不可欠です。 患者ケアの最中に、超音波プローブがSARS-CoV-2で汚染されることがあります。 一般的に、次の使用に応じて要求される消毒レベルを決定するために、スポルディング分類が適用されます(表1)。5,6COVID-19の発生中、施設ではスポルディング分類(表1)で求められるより高水準消毒を実施する判断を下す場合があります。 最新のガイドラインでは、一部の環境では超音波機器のHLDをより頻繁に行う可能性が示唆されています。7,8これには、通常、免疫不全で感染しやすい患者が入院しているICUが含まれます。7

HLD:高水準消毒。 LLD:低水準消毒。 %最低限必要な消毒水準は、スポルディング分類に基づいて決定されます。5,6 *救急診療部を訪れる患者は、スキャン領域周辺に想定外の病変や皮膚炎がある可能性があり、そのためにプローブがセミクリティカルに分類されて、使用前にHLDが必要になることがあります。 #スポルディング分類で必須化されているわけではありませんが、安全性を高めるために、施設で高い水準のリプロセッシングを行うことを決定する場合があります。 ^クリティカルなプローブには、滅菌が必要です。滅菌が不可能な場合は、HLDと滅菌シースを併用することも認められています6

SARS-CoV-2に対するHLDのメリット

SARS-CoV-2は新型のエンベロープウイルスであるため、これまでこのウイルスに対する消毒効果テストは実施されていません。 定義によると、HLDでは、細菌胞子を除くすべての微生物の生命が標準サイクルで不活性化されます。6この有効性範囲にはエンベロープウイルスも含まれます。 エンベロープウイルスは、消毒剤によって最も不活性化されやすい生物群と考えられています。5,6

臨床ワークフローを自動化することのメリット

手作業による消毒方法は、本質的に変わりやすく、臨床作業量が多い環境ではその効果がさらに増幅される可能性があります。 自動化された検証済みの消毒プロセスを使用すると、すべての臨界パラメーター(接触時間、温度、濃度など)を制御し、プローブヘッドやハンドルの全表面を消毒することができます。

COVID-19の患者に対する超音波の使用を管理する際に、自動化されたHLDシステムを使用すると、有効性が検証済みなので、重要な臨床タスクに集中して、最適な患者ケアを届けることができます。 COVID-19リスクの管理を支援するために、trophon®で自動化されたHLDの使用を選択する施設もあります。9,10

trophon® 製品のラインナップに含まれる trophon® EPR 機器と trophon2® 機器は、いずれも超音波で活性化した過酸化水素を用いる技術を中心とした装置です。

1. World Health Organization (WHO). Naming the coronavirus disease (COVID-19) and the virus that causes it. データアクセス日:2020年3月30日。 Accessible here: https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/technical-guidance/naming-the-coronavirus-disease-(covid-2019)-and-the-virus-that-causes-it

2. World Health Organization (WHO). Clinical management of severe acute respiratory infection(SARI) when COVID-19 disease is suspected: Interim guidance V 1.2. データアクセス日:2020年3月30日。 Accessible here: https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/331446/WHO-2019-nCoV-clinical-2020.4-eng.pdf?sequence=1&isAllowed=y

3. Peng QY, Chinese Critical Care Ultrasound Study Group (CCUSG), et al. Findings of lung ultrasonography of novel coronavirus pneumonia during the 2019–2020 epidemic. Intensive Care Med. Published online 12 March 2020. DOI : https://doi.org/10.1007/s00134-020-05996-6

4. Buonsenso D et al. Lancet Respir Med. Published online 20 March 2020. DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(20)30120-X

5. Spaulding EH. Chemical disinfection of medical and surgical materials. In: Lawrence C, Block SS, editor. Disinfection, sterilization, and preservation. Philadelphia (PA): Lea & Febiger; 1968. p. 517-31.

6. Centre for Disease Control and Prevention (CDC) 2008. Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities.

7. Costello C et al. Prevention of pathogen transmission during ultrasound use in the Intensive Care Unit: Recommendations from the College of Intensive Care Medicine Ultrasound Special Interest Group (USIG). Published online 26 March 2020. DOI: https://doi.org/10.1002/ajum.12205

8. The International Society of Ultrasound in Obstetrics

and Gynecology (ISUOG) Safety Committee Position Statement: safe performance of obstetric and gynecological scans and equipment cleaning in the context of COVID-19. データアクセス日:2020年3月30日。 Accessible here: https://www.isuog.org/resource/isuog-safety-committee-position-statement-safe-performance-of-obstetric-and-gynecological-scans-and-equipment-cleaning-in-the-context-of-covid-19.html

9. Wessner CE et al. Journal of Diagnostic Medical Sonography. September 2020. doi:10.1177/8756479320959035 10. Sheth S et al. Guidelines for Ultrasound in the Radiology Department During the COVID-19 Pandemic. Ultrasound Quarterly.

September 2020;36(3):200-205.